http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805041300_04.html
沖縄タイムス2008年5月4日
紛争予防 9条が力/憲法記念日で伊勢崎氏講演
憲法記念日講演会が三日、那覇市民会館で開かれ、国連などから派遣され、世界の紛争地域で武装解除を指揮してきた伊勢崎賢治・東京外国語大学大学院教授が登壇した。大量虐殺など、既に起こっている重大な人道的危機には、武力介入が必要な場面があるとしながら、国際社会には紛争の予防に取り組む責務があることを強調。中立的に紛争当事者の間に立てるのは「九条を守る日本に一番の可能性がある」と呼び掛けた。
伊勢崎さんは、百日間で八十万人が虐殺されたアフリカ・ルワンダの民族紛争や、十年間の内戦で五十万人が犠牲になったアフリカ・シエラレオネの実情を挙げ、「アフリカでは、十万人単位で人が死なないと、国際社会は動かない」と指摘。市民が大量に殺されるような現場には、武力介入を含めた「保護する責任」があると訴えた。
一方で、外務省の依頼で約六万人の武装解除に成功したアフガニスタンでは、武装した自衛隊の関与が一切なかった点を強調。新テロ対策特別措置法で、海上自衛隊がインド洋での補給活動を継続していることを批判し、「政権与党や外務省は、武装に非武装でかかわるアフガンの経験をまったく学んでいない」と、苦言を呈した。
紛争の予防には、国際社会の継続的な注意と関心が必要だが、世論の興味はしばしば薄れがちで、予防的援助は武力介入より難しいと指摘。「言うはやすしだが、やらなければならない。日本は九条の活用を重要な責任として考える必要がある」と結んだ。
講演会は、県憲法普及協議会と沖縄人権協会、日本科学者会議沖縄支部が主催。主催者発表で約千百人が聞いた。
現場経た平和論に耳傾け
「憲法九条は日本の防衛力」。三日に那覇市で開かれた憲法講演会で、伊勢崎賢治・東京外国語大学大学院教授は「九条によって日本は紛争に非軍事的にかかわれる」と訴えた。講演を聴いた市民らは「新鮮だった」「武力を認めるなんて」とさまざまな反応を見せた。
宜野湾市の嘱託職員・平田佳奈子さん(25)は「分かりやすかった」と好意的。九条は日本が戦争するのを防ぐものと考えていたが、「他国の紛争解決に九条を生かすという考えが新鮮だった。単なる平和論より説得力がある」と話した。
講演を聴いていたスリランカ人のディリープ・チャンドララール・沖縄大教授(55)は「武力だけで平和は実現しないが、狭い理想だけでも平和は実現しない。平和運動を若い世代に広げていくためには参考になる視点だろう」と話した。
一方、那覇市の主婦(43)は、「紛争解決に必要な武力もある」とした伊勢崎さんの主張に「違和感がある。誰が必要、不必要を判断するのか」の声もあった。
9条改定求め 県民会議発足
自主憲法制定国民会議の県支部となる「自主憲法制定沖縄県民会議」(亀川正東会長)が三日、正式発足し、那覇市内のホテルで「新しい憲法をつくる県民の集い」を開催した。約百人が出席した。
集会では、北朝鮮による日本人拉致や核問題、近隣諸国との領土問題を挙げ、「憲法九条を改めない限り国際貢献、国家の平和と安全は守れない」とし、早急な自主憲法制定を要請する決議を採択した。
2008年05月04日
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